
アクセス解析は、ホームページの現状を可視化し、何が起きているのか・どこでつまずいているのかを分かりやすく示すための基礎です。
アクセス数や表示回数、ユーザーの属性、検索キーワードとその順位、画像の閲覧状況などの数値を元データとして集め、サイト内のどの部分が強みで、どの部分に改善の可能性があるのかを具体的に発見できます。
近年はAIを使った自動分析も多く、画面上で結果がすぐに分かり、施策の理由づけや検証のスピードが上がっています。
本ガイドは、知識が少ない方でもスムーズに読み進められるよう、基本の考え方からツールの選び方、使い方、結果の見直し方までを丁寧に解説します。
Google アナリティクスとGoogle サーチコンソール(Google Search Console)の連携方法や、主要項目の意味(例:表示回数・クリック数・平均掲載順位)を確認しながら、外部メディアやSNSからの流入、競合との違いまで検討できるよう構成しています。
社内でシェアしやすい資料としても役立つ内容です。
そのため、次の章では「データの見方」と「改善の進め方」を段階的に整理します。
仮説を立て、計測し、結果をチェックし、必要に応じて導線を調整する——
この流れを繰り返すことで、CVの増加や売上への貢献が十分に期待できます。
無料で使えるツールも必ず取り上げますので、初めての担当者やアナリストの方でも、最新の数値を使って正しい判断ができるようになります。
ビジネスの目的に適した指標を選び、使って・分かり・改善へつなげるための実践的なガイドとしてご活用ください。
アクセス解析とは?初心者向けの基本解説

アクセス解析とは、ホームページの訪問者がどこから来て(流入経路)、どのページをどのくらい閲覧し(ページビュー数・滞在時間)、どのタイミングで離脱しているのかといった状態を、数値や画面上のデータとして可視化する方法です。
Google アナリティクスやGoogle Search Console(サーチコンソール)などのツールを使えば、アクセス数や表示回数、検索キーワードの順位など、サイト運営に必要な情報を詳細に確認できます。
これらのデータは仮説の検証や改善案の検討に欠かせないもので、ビジネス成果や売上向上にも直結します。
アクセス解析の目的
- 訪問者の行動を理解する
どのページのアクセス数が多いか、画像やリンクがどれだけクリックされているかを把握し、効果的なコンテンツや導線を発見します。 - 改善点を見つける
離脱率が高いページや回遊率が低い箇所を特定し、理由を分析してコンテンツやUIを見直します。 - マーケティングの効果測定
広告やSEO対策の結果を検証し、次の施策に活かします。外部メディアやSNSとの連携効果も確認できます。
アクセス解析のメリット
- ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上
属性や行動データを基に、より使いやすく目的を達成しやすいサイト構築が可能です。 - コンバージョン率の向上
問い合わせや購入といった成果を増やすための改善点を明確にできます。 - 戦略的なコンテンツ作成
人気の高い記事やキーワードを参考に、需要の多い情報を増やせます。
アクセス解析で分かる主な項目
アクセス解析を使うと、ホームページのさまざまなデータを収集できます。
以下のような情報が得られます。
- 訪問者数(アクセス数)
- ページビュー数(PV)
- 直帰率
- 平均滞在時間
- 流入経路(検索・SNS・広告など)
- 使用デバイスや地域などの属性情報
- 表示回数や掲載順位(検索結果上での可視化データ)
これらは数字だけでなく、ヒートマップや動画記録などで可視化することで、より具体的な原因把握や改善に役立ちます。
基本用語と意味
アクセス解析を始める際に、知っておくと便利な用語をいくつか紹介します。
- セッション:1人のユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動
- ページビュー(PV):ページが表示された回数
- コンバージョン(CV):目標として設定した成果(例:購入・資料請求)
- バウンス(直帰):最初の1ページだけ見て離れること
- リファラー:訪問前に見ていたサイトやリンク元
- トラフィック:サイト全体の訪問の流れや量
アクセス解析は「数値を集めること」が目的ではなく、そのデータを用いて改善案を導き出し、実行していくことが本質です。
必ず定期的に結果をチェックし、仮説と比較検証するサイクルを回すことで、効果的かつ持続的な改善が可能になります。
ホームページにアクセス解析ツールを導入する方法

アクセス解析ツールを導入することで、アクセス数や表示回数、検索キーワードの順位、ユーザーの属性などを数値として可視化し、仮説検証や改善案の検討に活かせます。
適切なツールを選び、正しい設定を行うことで、得られるデータの精度が高まり、ビジネス判断の根拠としても有効になります。
アクセス解析ツールの選び方
ツールは多く存在しますが、「目的」「予算」「使いやすさ」を軸に検討することが重要です。
1. 利用目的を明確にする
- トラフィック分析:訪問者数、ページビュー数、表示回数などの基本数値を確認
- 行動分析:ページごとの滞在時間や導線クリック率を把握し、どの部分に改善の余地があるか検証
- コンバージョン分析:CV(購入・資料請求・会員登録など)の発生状況や要因を分析
2. 予算を決める
- 無料ツール:Google アナリティクスやGoogle Search Consoleなど、基本機能が充実しており初期費用不要
- 有料ツール:Adobe AnalyticsやMixpanelなど、外部メディア連携や高度なKPI設定が可能
3. 使いやすさ
- インターフェースが直感的で、初めての担当者でも操作が分かりやすいか
- マニュアルやサポート窓口、トレーニング資料の有無
主要なアクセス解析ツールの比較
ツール名 | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
Google アナリティクス | 無料で利用可能。初心者向けの豊富なドキュメントとサポートが充実 | 無料 |
Adobe Analytics | 高度な分析機能を提供。大規模な企業向けのソリューション | 有料(要問い合わせ) |
Mixpanel | ユーザー行動の詳細な追跡が可能。イベントベースの分析に強み | 有料 |
導入の手順と注意点
アクセス解析ツールを導入する際の基本的な手順と注意点を説明します。
- アカウント作成:Google アナリティクスやSearch Consoleなど、利用するツールの公式サイトでアカウントを開設します。
- トラッキングコードの取:アカウント作成後、ツールから発行されるコード(例:
gtag.js
)を取得します。 - トラッキングコードの設置:HTMLの
<head>
タグ内にコードを挿入し、全ページで計測可能にします。<head> <script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=UA-XXXXX-Y"></script> <script> window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'UA-XXXXX-Y'); </script> </head>
- テスト・確認:Google アナリティクスなら「リアルタイムレポート」で現在の訪問者数やページを確認できます。
注意点
- プライバシーポリシーの更新:データ収集の旨を明記
- GDPR・法令対応:海外ユーザーを対象とする場合は必須
- 初期設定の徹底:
・プロパティとビューを正しく設定
・ゴール(目標)やKPIを登録
・社内アクセスをフィルタで除外
・重要項目を可視化するダッシュボード構築
・自動レポート送信設定でチーム共有
正しく導入し、必ず定期的なデータチェックと見直しを行うことで、仮説の精度が上がり、改善効果も明確に測定できます。
ツールの機能を使いこなせば、訪問者の行動や属性データを根拠に、売上やCV増加につながる施策立案が可能になります。
Googleアナリティクスの使い方と設定ポイント

Googleアナリティクスは、アクセス数や表示回数、検索キーワードの順位、ユーザーの属性などを詳細に把握できる分析ツールです。
仮説の検証や施策の見直しに必要なデータを、リアルタイムから長期的な傾向まで幅広く取得でき、ビジネスや売上の改善に役立ちます。
Googleアナリティクスの基本機能
Googleアナリティクスは、ウェブサイトの訪問者の行動を詳しく分析できる強力なツールです。
以下は、主な基本機能です。
1.リアルタイムレポート
- 機能:現在サイトを訪れているユーザー数、閲覧しているページ、アクセス元の地域などをリアルタイムで表示
- 用途:広告キャンペーンやSNS投稿後のアクセス増加など、短時間での反応を検証
2.オーディエンスレポート
- 機能:訪問者の年齢、性別、興味、地域、デバイスなどの属性データを可視化
- 用途:ターゲット層の理解を深め、広告配信やコンテンツ構成を最適化
3.集客レポート
- 機能:Google Search Consoleとの連携により、検索クエリや掲載順位、表示回数なども分析可能
- 用途:SEO・SNS・広告などの集客チャネルごとの効果を比較し、次の施策を検討
4.行動レポート
- 機能:ページ別のアクセス数、平均滞在時間、離脱率、回遊パターンを分析
- 用途:訪問者が多いページや直帰率が高いページを特定し、導線やコンテンツを改善
5.コンバージョンレポート
- 機能:目標(CV)達成までの経路や要因を可視化
- 用途:フォーム送信や資料請求、購入などの成果を増やすための施策を検証
アカウント作成と初期設定手順
- アカウント作成:Google アナリティクス公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログイン
- アカウント名、サイト名、URL、業種、タイムゾーンを入力
- トラッキングコードの取得と設置:アカウント作成後に発行されるトラッキングIDをコピー。サイト全ページの
<head>
タグ内に以下のコードを設置<head> <script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=UA-XXXXX-Y"></script> <script> window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'UA-XXXXX-Y'); </script> </head>
- プロパティとビューの設定:計測対象サイトをプロパティとして追加
- 自社IPを除外するフィルタを作成し、正確なアクセスデータを保持
効果的に使うためのポイント
- Google Search Consoleや外部メディアと連携して、検索順位や表示回数も含めて一元的に確認
- 定期的にダッシュボードを見直し、ビジネスのKPIや売上に直結する指標を可視化
- 必ず仮説 → 検証 → 改善のサイクルを回す
無料で使えるおすすめアクセス解析ツール5選

アクセス解析ツールは有料のものも多いですが、無料でも十分に役立つものがあります。
ここでは、アクセス数や表示回数、訪問者の属性、検索キーワードや順位などを可視化でき、改善施策の検討や仮説検証に役立つ無料ツールを5つ紹介します。
いずれも導入が簡単で、初めて担当する方やアナリストにもおすすめです。
Google アナリティクス
特徴
訪問者数、ページビュー数、直帰率、滞在時間、コンバージョンなど幅広い項目を分析可能。
Google Search Consoleと連携すれば、表示回数やクリック率、平均掲載順位などの検索パフォーマンスも確認できます。
使い方
アカウント作成 → トラッキングコード取得 → <head>
タグに設置 → ダッシュボードでデータを確認
Matomo (旧Piwik)
特徴
オープンソース型で自己ホスティング可能。
プライバシー配慮機能が強化され、外部にデータを渡したくない場合に最適。
使い方
ソフトウェアをダウンロード → 自社サーバーにインストール → トラッキングコードを追加 → カスタムレポートを作成
Clicky
特徴
リアルタイム分析に強く、画面上で訪問者の行動が即座に可視化。ヒートマップ機能も搭載(有料版)。
使い方
アカウント作成 → トラッキングコード設置 → リアルタイムデータや行動ログを確認
Open Web Analytics (OWA)
特徴
無料の自己ホスティング型で、クリックやリンク、画像の閲覧など細かなイベント計測が可能。
使い方
ソースコードをダウンロード → サーバーに設置 → トラッキングコードを埋め込み → 指定項目を可視化
StatCounter
特徴
初心者でも迷わず使えるインターフェースとリアルタイムレポート機能。ページ別のアクセス傾向や増減を簡単に把握できます。
使い方
アカウント作成 → コード設置 → ダッシュボードで訪問状況を確認
無料ツールのメリット
- コストがかからない
無料で使えるため、初期費用やランニングコストを抑えられます。 - 簡単に始められる
アカウントを作成し、トラッキングコードを設置するだけで、すぐに利用可能です。 - 基本機能が充実
訪問者数、ページビュー、直帰率など、基本的なデータ分析が可能です。
無料ツールのデメリット
- 機能が制限される場合がある
無料版では一部の高度な機能が利用できないことがあります。 - サポートが限られる
無料ツールでは、サポートが限定的である場合があります。 - データの保持期間が短いことがある
一部の無料ツールでは、データの保持期間が制限されていることがあります。
比較表:
ツール名 | 利用料金 | 特徴 | リンク |
---|---|---|---|
Google アナリティクス | 無料 | 包括的なデータ分析が可能 | 公式サイト |
Matomo | 無料 | オープンソース、自己ホスティング可能 | 公式サイト |
Clicky | 無料/有料 | リアルタイムデータ、シンプルなUI | 公式サイト |
Open Web Analytics | 無料 | オープンソース、詳細なイベント追跡 | 公式サイト |
StatCounter | 無料 | シンプルで使いやすい、リアルタイムデータ | 公式サイト |
これらの無料ツールを活用することで、効果的なアクセス解析が可能になり、ウェブサイトの改善や最適化に役立ちます。
詳細な情報や設定方法については、各ツールの公式サイトを参照してください。
データを活用した戦略の立て方
アクセス解析データを活用して、効果的な戦略を立てる方法を説明します。
- ターゲットユーザーの理解
オーディエンスレポートで属性や興味関心を把握し、広告やコンテンツ配信の方向性を調整。 - コンテンツの最適化
アクセス数や滞在時間、回遊データから人気ページを分析し、その要因を他のページにも応用。 - コンバージョン率の向上
CVが多いページのCTA配置や導線を参考に改善。フォーム最適化(EFO)で離脱を減らす。 - 集客チャネルの最適化
トラフィックソースを比較し、ROIの高いチャネルへ予算やリソースを集中配分。
これらのツールと分析戦略を組み合わせれば、仮説の精度を高め、改善の効果を数字で検証できます。
まとめ
アクセス解析は、ホームページの現状や課題を数値として可視化し、改善の方向性を明確にするための欠かせない手段です。
アクセス数や表示回数、検索キーワードの順位、訪問者の属性や行動パターンなどを把握することで、どこに改善の可能性があるのか、どの施策が有効かを具体的に検証できます。
例えば、直帰率が高いページや滞在時間が短いページは、コンテンツ内容や導線設計、読み込み速度を見直すことで改善できる可能性があります。
フォームの項目数を減らすEFO(入力フォーム最適化)や、画像・動画の活用による訴求力強化もCV(コンバージョン率)の向上に有効です。
無料で利用できる代表的なツールには、Google アナリティクスやGoogle Search Console(サーチコンソール)、Matomo、Clickyなどがあります。
Google Search Consoleと連携すれば、検索結果での表示回数や掲載順位の推移も確認でき、SEO施策の検証に役立ちます。
これらのツールを使いこなすことで、データに基づいた戦略立案が可能になり、売上や集客の増加につながります。
重要なのは、データをただ眺めるだけではなく、仮説 → 分析 → 改善 → 検証というサイクルを必ず回すことです。
そのために、目的に応じた指標を設定し、定期的にKPIをチェックしながら改善を継続することが不可欠です。
アクセス解析は一度設定して終わりではなく、最新のデータや傾向をもとに柔軟に戦略を見直すことが成果につながります。
必ず目的に合ったツールを選び、得られたデータを最大限に活かして、サイト全体のパフォーマンスを高めていきましょう。
アクセス解析でどこまで分かるかについては下記で詳しく紹介しています。
