アクセス解析レポートの作成方法と分析ツールの選び方まとめ

Webサイトの課題を発見する際、アクセス解析レポートの作成は現状を正確に把握する基礎となります。
しかし、取得できる数値を闇雲に詰め込んでも、報告で伝えるべき変化や判断に必要な情報は読者へ伝わりません。
見るべき数値を事前に整理し、自社の分析目的に適したツールを選べる状態を整えましょう。

本記事では、アクセス解析レポートの作成手順や分析ツールの選定基準を踏まえ、自社で優先して見るべき項目や改善の判断材料を詳しく説明します。

アクセス解析レポートに入れる項目の選び方

アクセス解析レポートに入れる項目の選び方

アクセス解析レポートに掲載する数値は、報告や改善提案へ直結する項目に絞り込むことが不可欠です。
目的に合わないデータを過剰に盛り込むと、何を根拠に改善を判断すべきかが読み手へ伝わりません。
成果につながる資料へ仕上げるためにも、掲載する数値を事前に吟味しておきましょう。

この章でははじめに、数値を載せる順序や施策と連動した項目の選び方を踏まえ、レポート作成で優先すべき判断材料を解説します。

数値を載せる順番と説明内容を決める

Webサイトの現状を報告する際は、全体の動向から詳細な数値へと順を追って並べることが大切です。
大枠から細部へ視点を移すことで、訪問者の行動傾向を読み手がスムーズに把握できます。

項目の並び順に迷った場合は、以下の順序を参考にデータの配置を整えましょう。

1 サイト全体の概要把握
ユーザー数やページビュー数から全体の訪問状況を確認する
2 流入経路の特定
流入経路別の訪問数や検索キーワードから集客の要因を比較する
3 ページごとの動向確認
ページ別の閲覧数や離脱率から閲覧傾向と離脱箇所を見定める
4 成果への貢献度評価
コンバージョン数やコンバージョン率から目標達成の状況を判断する

段階的にデータを辿ることで、どの工程にボトルネックが潜んでいるかを直感的に特定できます。
数値同士のつながりが伝われば、改善の優先度を決める議論でも判断に迷いません。

施策の結果を判断できる項目を入れる

施策の手応えを掴むには、変更した内容と直接連動する数値へ絞り込んで掲載することが欠かせません。
無関係な指標を並べても、変更を加えた影響や達成度合いを正確に特定できないためです。

実施した施策の種類と追うべき数値の組み合わせに迷った場合は、以下を参考にに指標を揃えましょう。

施策の種類 掲載する数値 着視点
SEO記事の追加 自然検索の訪問数、検索キーワード、流入先ページ 記事への検索流入が発生しているか
広告配信 広告経由の訪問数、クリック数、コンバージョン数 広告から訪問や完了行動が発生しているか
CTA変更 クリック数、フォーム到達数、コンバージョン数 変更後にクリックや完了行動が増えているか
ページ改善 ページ別の閲覧数、滞在時間、離脱率 改善したページの動きに変化があるか

変更内容に対して数値の変化を明確に説明できる項目へ絞り込めば、施策の成否を正しく評価できます。
数値の動きと施策の因果関係が伝わらない状態では、次の改善方針を関係者へ説明することも容易ではありません。

原因を断定できない数値は仮説を立てて扱う

アクセス解析において、数値が動いた背景や要因を一つだけに絞り込むことは簡単ではありません。
アクセス数が増加している場合でも、検索順位の変動や外部環境の変化など複数の要素が複雑に影響しているためです。
根拠が曖昧なまま理由を断定してしまうと、見当違いの改善提案に繋がりかねません。
原因を確定できない数値に直面した際は、計測できた事実を起点に仮説を組み立てましょう。

数値の変化から背景を読み解く際は、以下の対応表を基準に補足データを見比べます。

アクセス数の増加
補足して調べるデータ 流入経路別の訪問数
立てる仮説の例 検索順位の上昇やWeb広告の配信量増加が影響している
滞在時間の短縮
補足して調べるデータ 流入キーワード、ページ内容
立てる仮説の例 訪問者の検索目的とページの掲載内容が噛み合っていない
コンバージョン率の低下
補足して調べるデータ 流入経路、フォーム到達数
立てる仮説の例 流入経路の質低下やフォーム手前での離脱が影響している
直帰率の上昇
補足して調べるデータ 流入先ページ、検索キーワード
立てる仮説の例 入口ページの訴求内容とユーザーの期待にギャップがある

事実と仮説をレポートに盛り込むことで、次の改善策を立てる際の判断材料になります。

アクセス解析レポート作成に役立つ分析ツール

アクセス解析レポート作成に役立つ分析ツール

アクセス解析レポートに検索流入やページ内の行動まで含める場合は、Googleアナリティクス以外のツールも使う必要があります。
検索結果での表示状況やページ内のクリック位置などを分析し、流入前の課題やページ内で見直す箇所をレポートに反映しましょう。

以下では、アクセス解析レポート作成に役立つ具体的なツールを紹介します。

Google Search Consoleで検索流入の根拠を確認する

Google Search Console

「Google Search Console」は、ユーザーがサイトへ訪れる前に検索画面上でどのような動きを取ったかを可視化するツールです。
Googleアナリティクスが訪問後の行動を中心に追うのに対し、検索結果における表示やクリックといった前段階のデータを補う役割を果たします。

流入前の課題を多角的に把握したい場合は、以下の項目をレポートへ組み込みましょう。

表示回数 検索結果画面へ自社ページが出現した回数
クリック数 検索結果から実際のアクセスへつながった回数
クリック率 表示回数に対するアクセス獲得の割合
平均掲載順位 各検索語句における自社ページの掲載位置
検索キーワード 訪問者が検索時に入力した具体的な語句
流入ページ 自然検索から最初に閲覧された着地ページ

単にアクセス数の増減を追うだけでは、検索意図とのズレやタイトルの訴求不足まで把握できません。
検索結果画面でのデータをレポートに反映させることで、記事の加筆やリライト等が必要かどうかの判断材料を整えましょう。

Google Search Console 公式はこちら

Looker Studioで定期レポートを作成する

Data Studio定期レポート

「Looker Studio(旧:Googleデータポータル / Data Studio)」は、Googleアナリティクスなどのデータをグラフや表で表示できるツールです。
このツールを使用すれば、定期的なモニタリングにかかる手間を省き、レポート作成の自動化が可能になります。

Looker Studioで作成したレポートの利点として、主に以下の4つが挙げられます。

任意の期間を指定して、過去の数値と比較できる
Googleアナリティクスなどのデータと連携できる
元データの更新内容をレポート上の数値に自動反映できる
グラフや表で数値の推移を把握できる

ただし、ツールを接続しただけで自社に合うレポートが仕上がるわけではありません。
自社の課題に合わせて画面設計を行い、表示する指標やグラフの配置を自力で調整する必要があります。

Data Studio 公式はこちら

Microsoft Clarityでページ内のクリックや離脱を確認する

ヒートマップ

「Microsoft Clarity」では、ヒートマップやセッション録画を用いて画面上のクリック位置やスクロール動向を色や動画で把握できるツールです。
Googleアナリティクスの集計データでは見落としがちな訪問者の具体的な動きを可視化できます。

用語メモ

ヒートマップ

ページ内でクリックされた場所やスクロールされた範囲を色の濃淡で確認できる機能

セッション録画

Webサイトやアプリを訪問したユーザーの画面上の動きをビデオ録画のように記録し、後から再生できる機能

ページ単体の数値だけでは理由が分からない離脱や誤操作の背景を読み解きましょう。

ページの改修箇所を特定する際は、以下の視点を軸にユーザーの挙動を確認してください。

✓ クリック領域の特定 ページ内のどの場所やボタンに反応が集まっているかを調べる
✓ 意図しない操作の検出 リンクのない画像やテキストが押されていないかを確かめる
✓ 読了範囲の計測 訪問者がページのどこまで画面をスクロールしたかを把握する
✓ 成果地点前の離脱検知 フォームやリンクへ到達する手前で離脱が起きていないかを分析する
✓ 操作迷いの観察 セッション録画を用いて画面遷移や入力中の不自然な停止を再生する
✓ 導線のズレ検証 実際にクリックされた要素と意図した配置にギャップがないかを比べる

観察データを根拠に加えることで、訪問者が途中で止まっている要因を明確に特定できます。
導線やレイアウトの改善案を関係者へ伝える際は、説得力を高める裏付けとしてレポートへ反映しましょう。

Microsoft Clarity 公式はこちら

AIデータ分析ツールで改善施策案つきのレポートを作成する

AIデータ分析ツールを活用すると、アクセス解析の数値を読み取り、課題のあるページや具体的な改善策を素早く整理できます。
連携できるデータや出力範囲は製品ごとに異なるため、自社の分析目的に合わないツールを導入しても業務の効率化へはつながりません。

レポート作成を自動化するツールを選定する際は、以下の項目をもとに自社に必要な機能を備えているか確認してください。

✓ レポート用の数値分析 自社のアクセス解析に必要な指標を網羅しているか
✓ 改善施策案の算出 数値の要約だけでなく具体的な見直し案まで出力できるか
✓ 提案根拠の明確さ 出力された改善策がどのデータを元に算出されているか
✓ レポート本文の作成 解析データから報告用テキストまで自動で生成できるか
✓ 運用負担の軽減 定期的なレポート作成作業を効率よく進められるか

生成された改善策の根拠数値が明示されていれば、提案内容の妥当性を冷静に見極める判断材料として機能します。
データと提案内容の因果関係が不透明なままでは関係者への説明や施策の実行へ進めないため、導入前に出力結果の精度を吟味しておきましょう。

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レポートを作成するときの注意点

レポートを作成するときの注意点

アクセス解析レポートは作成した時点で完成ではなく、数値や説明に誤りがないか最終確認まで行いましょう。

確認する観点は、数値の変化や計測条件によって変わります。
自動生成したレポートを使う場合は、出力内容の根拠も確認することが必要です。

ここでは、アクセス解析レポートを報告に使う前に確認したい注意点を扱います。

数値の増減は要因とセットで報告する

アクセス数やページビュー数に変動があった際は、数値が動いた時期と施策の変更タイミングを照らし合わせる必要があります。
検索流入が伸びている局面では、対象のページや検索語句まで掘り下げ、どの経路が影響しているかを明確に特定しなければなりません。

数値に変化が起きた背景を正しく捉えるため、以下の項目を中心に状況を確認してください。

広告の運用履歴
配信の開始日や停止日とアクセスの増減期を照合する
SEO改修の履歴
ページの修正日や新規公開日と流入の変化を見比べる
ページの更新状況
対象ページの文言変更やデザイン刷新の時期を調べる
外部環境の変動
キャンペーン期間や季節性の需要変化による影響を検証する
計測条件の変更
集計期間や目標設定の変更履歴を確かめる

数値の動きと施策の実施時期を紐づけて説明すれば、一時的な数値のブレに振り回されず成果を冷静に評価できます。
施策の開始日や季節要因などの背景を添えて理由を整理し、関係者への共有をスムーズに進めましょう。

比較条件が変わった数値には注記を入れる

アクセス解析レポートを作成する際、集計条件の異なる数値を前回実績とそのまま比較するのは適切ではありません。
集計期間や対象範囲のズレ自体が数値の増減を引き起こし、正しい成果判断を狂わせてしまうためです。

レポートの信頼性を保つためにも、以下の状況に該当する際は比較条件の違いをわかりやすく明示しましょう。

集計期間の変更
前回と比べて集計日数が長い、あるいは短い
対象範囲のズレ
前回と分析ページの範囲や抽出条件が異なる
成果条件の改定
問い合わせや購入といったコンバージョン定義を変更した
過去データの不足
計測を始めたばかりで比較対象となる実績がない

前提条件の補足を添えておけば、数値の変動に対する読み手の誤解を未然に防ぐことができます。
集計ルールの変化を共有しないままでは、報告を受ける側も数値の動きを正しく理解できません。

生成された改善施策案は実際の状況と照らし合わせる

AIデータ分析ツールが出力する改善案は、数字の計算に基づいているため実際の運用環境までは考慮されていません。
ページの目的や進行中の取り組みを無視して採用すると、実現できない提案をレポートに掲載するリスクが生じます。

生成された施策を実際の業務へ落とし込む際は、以下の項目を軸に内容の実現性を確認してください。

✓ 対応済み項目の確認 すでに対応を完了した内容が含まれていないか
✓ 過去の施策実績 以前試して十分な効果が得られなかった施策ではないか
✓ 進行施策との整合 現在動いているプロジェクトや改修案と矛盾しないか
✓ 社内方針との合致 組織の事業方針や改善の優先順位に沿っているか
✓ 関係部署への確認 他部署や外部協力会社へ事前の相談が必要か
✓ 次回検証の設計 次回レポートで確認する評価指標まで設定できるか

数値上でどれほど妥当に見えても、現場の実務とそのまま噛み合わないケースは珍しくありません。

石本 憲貴 石本 憲貴
AIの提案を鵜呑みにせず、現場で運用できる施策かどうかの最終判断は人の手で行いましょう!

まとめ

アクセス解析レポートでは、報告目的に合わせて指標を選び、数値の変化からサイトの課題を読み取ります。
改善施策までまとめる場合は、どの数値を根拠にした提案なのかを説明できる状態にしておくことが重要です。

「Google Search Console」などの分析ツールは、流入や検索状況を確認する材料になります。
数値の解釈や施策判断は、目的や比較条件と照らし合わせて行いましょう。
断定できる内容と仮説の扱いを整理し、比較条件が変わった数値には注記を入れます。
AIで生成した改善施策案を使う場合は、過去に試した施策や進行中の対応と矛盾しないかを確認してください。

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この記事を書いた人
株式会社トモシビ 石本憲貴
株式会社トモシビ 石本憲貴

WACA認定 ウェブ解析士マスター / AJSA認定 SEOコンサルタント
デジタル庁 デジタル推進委員
京都医健専門学校 スポーツマネジメントテクノロジー科 非常勤講師
大阪リゾート&スポーツ専門学校 スポーツITトレーナー科 非常勤講師

1987年生まれ。関西大学法学部法律学科卒業。
大学在学中、独学でWEBサイト制作 / プログラミング / WEBマーケティングを学ぶ。
大学卒業後、成果を上げる事に徹底的にこだわった「WEBコンサルティング会社」を設立
2020年に「株式会社トモシビ」を設立。『「勝てるWEB戦略」をモットーにしたコンサルティング業』として、アクセス解析/SEO対策/ウェブサイト・LP制作/広告運用など、これまでで240社以上の支援実績。現場の最前線で実作業もこなす現役プレーヤーとして活躍中。
WEBマーケティング、Google Analytics の活用法を教える企業研修・セミナーなどの『講師活動』をこれまで250回以上実施。

【著書一覧】
1. ウェブ解析スペシャリストが教える! 稼ぐサイトをつくる「7つの秘訣」(セルバ出版)
2. 現場で使える Googleタグマネージャー実践入門(マイナビ出版)
3. 1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本(インプレス社)
4. Googleデータポータルによるレポート作成の教科書(マイナビ出版)
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6. 自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(37)(Kindle)
7. 自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(51)(Kindle)
8. 自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(57)(Kindle)

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